・午前中時間があったから、年始に買ってた蓮實重彦の新書『見るレッスン 映画史特別講義』をざっと読んだ。実は蓮實さんの本をちゃんと読むのははじめてだったのだけど、たくさん笑わせてもらった。勝手に嫌らしくていじわるな人なのかと思っていたけど、この本読む限りでは口は少し悪いけど話はおもしろくて、こういう先生高校とかにいたよなあって感じ。溝口健二を見ていないやつは反日だとかいうくだりとロメールとバザンを殺人リストに入れているというくだりはゲラゲラ笑った。最近、映画に対するモチベーションが全然なかったけど、この本を読んだら映画を見たくなってきた。そういう意味でいい刺激剤になった。
・それで前からずっと観たいと思っていて、ちょうど蓮實さんの本にも出てきた、三宅唱の『きみの鳥はうたえる』をamazon primeで観た。めちゃくちゃ良かった。まさに映画でしか成立し得ない貴重なものがそこにあるという感じ。すごく好き。良かったなぁ。
・昨日の山本浩貴と保坂和志のトークを聴いてから、何故か『カンバーセイション・ピース』がとても読みたくなって、夕方に読みはじめた。あまりこういう長い小説を読んでいる場合ではない時期だけど、ゆっくりと少しずつ読む。この世界からいなくなった叔母や猫の匂いが、かつて住んでいた、そして今住んでいる家にかすかに残っていて、それが残っているかぎりそれらの存在も消えきっていないのではないか、というくだりで少しグッときた。たぶん昨日保坂さんの話を聴いたというのもあると思う。めっちゃ良い。