7月23日

・最近、生きていてあんまり現実感がない。たぶんそれは一気に興味のあることが増えて、自分が(ある程度は)安住できるような足場で思考をすることを一旦放棄せざるを得なくなったのと関係していると思う。映画、アニメ、絵画、音楽、漫画とか、まだまだ自分の感覚が信頼できないような領域に足を踏み入れるのは怖いけど楽しい。最近、ようやく小説で自分の好みというかある程度地のある趣味判断ができてきたところなのだけど。それで、メディア・スペシフィックな問題を越えたところで思考して、小説を制作できるようになればと漠然と考えている。

・ここ数日は映画のことをいろいろ調べたり、DVDをレンタルしたりしている。

・古谷利裕さんの偽日記を読んでいるとセザンヌの絵が見たくなってきて、部屋で画集をみていたら、とても内側から何かが揺さぶられる感覚があって、いつか生で見てみたいなあと思った。古谷さんとあと保坂さんは制作について語っているとき、ほんとに素晴らしくて、とにかく何かを作るということに憑りつかれた人たちなんじゃないかと思う。古谷さんが作品をつくる、制作するというのは表現やコミュニケーション、思考の伝達には還元されない、「モノをつくることの目的はモノをつくることだ」ということを言っていてとても励まされた。何かを伝えるためにモノを作るのではなくて、孤立し、それ自体では閉じているモノをつくる。コミュニケーションの手段ではなく、ゴロっとした、異物のような何かをつくる。