3月26日

 昼に起きてからYouTubeを開いて、惰性でおすすめに上がってくる動画とかを観ていたら夕方になっていた。昨日の日記を書いていないことを思い出してあわてて書く。日付のズレは気にしない。夜、といってもほぼ朝だけど、寝る前に書くより起きて昼に書く方が合ってるかもしれない。最近、YouTubeを1日5時間くらい平気で観ちゃうからやめたい。まあ暇だからやめる理由もないけど、本を読んだり映画を観たりするのができなくなる。YouTubeを観なくなったところで、ぼくの体力的に1日に本を読める量なんてたかが知れてるんだけど。映画も、つねにYouTubeという選択肢が隣にあったら、どうしても惰性でダラダラ観れるYouTubeのほうに流れていってしまう。本よりこっちの方が問題な気がするが、YouTubeもいずれ飽きるだろうし、そのときを待つしかないなあという感じだ。YouTubeを観ている(た)時間を無駄だと少しでも思ってしまうと、それはそれで何かに対する敗北だし。昨日(一昨日)河原で一人で石拾いしていた時間が無条件に肯定的なものであるように、YouTubeをだらだら観て過ごす時間も同様に肯定されなければならない、そこに差異を認めるべきではないのだ、というわけで無駄という気持ちは抑圧しつつ、自然といい感じに収まるようになるまで好きなだけ観てようと思う。

 『猫のお化けは怖くない』(武田花)、「ヒゲ」より。

≪ ある夏。しばらく戻らなかったことがある。私が庭に立っていると、草をかき分ける音と共に、叢から姿を現した。様子が変だ。一目散に私のもとに駆け寄り、しゃがんだ私の股の間に入ってきた。毛が逆立ち、尻尾も狸のように太くなっている。かすかに震える体。

 息も荒い。

 斥候に出て行った兵隊が必死の思いで陣地に戻り、上官に報告するように、上目遣いで私を見つめ、

「くも二等兵ただいま戻ってまいりました。上等兵殿、自分はすごいものを見てきたのであります。ものすごく怖い目に遭ったのであります。もう、自分は駄目であります」

 そんな感じだ。なんだか顔つきもいつもと違う。よくよく見ればらヒゲが全部、時計のぜんまいみたいにくるくる巻きになっているのだった。八本だったか十本だったか、すべての長いヒゲが。≫

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