1月1日

・今日は一日中実家でテレビを観ていた(正月っぽい)。漫才の番組でジャルジャルの天才的なコントを観ることができたので満足。ああいう大舞台でもいつもの形式的で抽象度の高いコントを堂々とやって、そして笑いも取れてしまうのが本当にすごいなと思う。福徳の演技ーシュミレーションによって、後藤は現実と虚構の二つが地を争い合うような空間に立たされてしまう。後藤は虚構空間のなかに、それが虚構では無いかもしれないという可能性を察知し、福徳にツッコミを入れるが、福徳はすぐさま現実ではなく虚構なのだと後藤を両義的な空間へと揺り戻す。この繰り返される往復運動のなかで、漫才は最終的に後藤が立っている空間が虚構であっても現実であっても、福徳にツッコミを入れざるを得ない状況を生み出す(後藤に対するダブルバインド)。はじめから最後までの流れがとても美しくてひとつの芸術作品を観ているかのようだった。

 

12月31日

・大学の授業の準備かつ自分の興味で『思想』のE・ヴィヴェイロス・デ・カストロ特集を読んでいる。本人の発表原稿が収録されているからまずそれを読んでみたのだけど、ほとんど何言ってるか分からなかった。1ページに数行分かるところがあるくらいでそれ以外は全然。読めば読むほど勉強しなければいけないことが爆発的に増えていく感じがある。これは新しい領域に踏み込もうといているからある程度しょうがないことなのだ、と自分に言い聞かせて今日は途中で読むのをやめた。

・年が明けた。そういえば、いままで干支というものを覚えたことがなくて、2021年がなにどしなのか知らない。というか、去年も一昨年も分からない。ね、うし、とら、うまではリズム感で覚えているけどそれ以降が分からない。

・今日買った本

f:id:moko0908:20210101013345j:image

12月30日

・実家に帰省した。電車の進行方向と逆向きに座って車窓を眺めていると、一瞬からだが置いていかれる感覚がした。大阪湾の辺りや明石海峡大橋の辺りの風景が何度観てもいいなあと思う。

Brian Wilson & Al Jardine - Sloop John B (Official Video)

https://youtu.be/gx5PVjsRamk

・夜はsiraphの忘年会の生放送をだらだらと観て過ごした。

f:id:moko0908:20201231003942j:image
f:id:moko0908:20201231003931j:image
f:id:moko0908:20201231003934j:image
f:id:moko0908:20201231003939j:image

12月29日

・大学のレポートのために本を読んだあと、午後はひたすらアニメを観ていた。『響け!ユーフォニアム』の9〜13話と『中二病でも恋がしたい!戀』の1〜4話。京アニづくしだった。

・「ユーフォ」はだいぶ前に観た8話までも素晴らしかったけど、今日観たラスト5話はどの回もすごすぎて圧倒された。作品のなかにあまりにもたくさんのことが含まれているから、作品について言葉で語ろうとする努力をハナからへし折られてしまう。素晴らしい場面や展開が多すぎて、最後の5話がヤバすぎたとしか言えない。テレビでは放送されなかったOVAもとても素晴らしかった。本編の内容の一部を久美子ではなく葉月を中心に捉えたカメラによって語り直すかたちになっている。この作品がほかの番外編的な作品に見られるような弛緩したものにならずに、必然性を伴ったものになっているのは、そもそも「ユーフォ」自体が語られなかった余白にも充実した(それぞれの登場人物がそれぞれに生きている)世界が広がっていることを感じさせるからだと思う。たぶん、久美子や葉月以外の誰を主人公にとっても、この作品の世界に説得力を持ったかたちで組み込むことができる。それは「ユーフォ」という作品自体が持っている強さによって可能になる。葉月と中川が裏でああいう風にやり取りをしていたのを観ると感慨深いものがある。

・「中ニ病」の二期もかなりいい感じ。「ユーフォ」のギュウギュウに詰め込まれたキレキレの感じとは逆に、遊戯性の高い開かれた空間を描いている。一期では中ニ病の世界で激しい戦闘を行っていたのが主に立花と凸守だったのが、二期の1話では秘密結社の全員が立花や凸守の世界に能力者として参入していて、みんなすごく仲良くなってるなあ、としみじみと思った。今期は立花と勇太が、世間一般の男女の恋愛関係ではないような、二人固有の関係をどう結んでいくのか、あるいは通俗的な恋愛関係(一般)とその中二病的解釈(固有)の拮抗が重要な主題の一つなのかなあと思う。男と女のペアがアニメ表現において、性愛以外の仕方で結びつくことができるのか、という問いというか(これは「ユーフォ」の久美子と秀一にも問われているのかもしれない)。普通のベタベタな恋愛アニメには落ち込まないぞ、という工夫は随所に見られる。このアニメはとにかく脇役が素晴らしくて、凸守ー丹生谷回の4話は脇役たちのポテンシャルが最大限発揮されていたと思う。Aパートで凸守が自分の教室に丹生谷が来ていることを知るとすぐに(立花のことを放っておいて)ちょっかいをかけに向かうシーンがあって、2人がほんとうに仲良しというか凸守が懐いていることが改めてわかる。このアニメの中で一番良いのは、凸守と丹生谷のペアだと思う。くみん先輩も天然なフリして、部内の人間関係に関しては一番いろいろと見通している感じが小出しに描かれていて、こういう単調にならない感じがとても良い。二期の新キャラがこれからどう動いて、現在の人間関係にどう影響を与えるのかとても楽しみ。

 

12月27日

丸善へ行った。大型書店に行くのは久しぶりでとてもワクワクした。残雪の『突囲表演』を買った。読むのはしばらく先になりそうだけど楽しみ。

・授業のレポートの調べ物のために『快楽としての動物保護』(信岡朝子)という本を読んでいる。純粋に読みたい本を読んでいるのではないときって、どうしてもこちら側の問題であまり楽しい読書にはならないのだけど、この本は読んでいるうちに面白くなってきた。スーパーホエールという概念をはじめて知った。

≪スーパーホエールとは、異なる複数のクジラ類種の特徴をひとまとめにして作られた、現実には存在しない観念上のクジラである。例えば「地球上でもっとも大きい動物」という形容は、クジラ類の中ではシロナガスクジラのみに当てはまり、地球上でもっとも大きな脳を持つのはマッコウクジラ、体重に対してもっとも大きい脳の割合を示すのはハンドウイルカ、歌を歌うのはザトウクジラ、人懐っこいのはコククジラ、絶滅の危機に瀕しているのはホッキョククジラとシロナガスクジラなどとなるが、これらの異なる特徴を部分的に取り出してイメージ上で混交し、実体化させたのが、スーパーホエールである。≫

≪西洋に伝統的に存続してきたクジラ像とイルカ像の系譜を交錯させる形で生まれた「スーパーホエール」の偶像は、やがて森田勝沼の言う「メディアホエール」となって世界中に拡散していった。≫

≪森田によると、メディアホエールには、(1)クジラの知性の研究などの「科学的」な装い、(2)現代が求めるプラスの価値(知性、瞑想、非暴力、愛、平和、反経済至上主義など)、(3)映像や音声表現などのヴァーチャル・リアリティ的展開といった特徴がある。だが、これらの要素を盛り込んで作られたクジラ類のイメージは、あくまで「作り上げられた虚構」に過ぎず、実在する生物としてのクジラ類の生態や捕食関係、あるいはクジラ類と人間生活の現実的な関わりといった要素は完全に欠落している。そうして、生物としての実体から乖離したメディアホエールは、人々の想像の中だけに存在する「非現実的で非歴史的な世界」を今日に至るまで休むことなく泳ぎ続けているのである。≫

f:id:moko0908:20201228153408j:image
f:id:moko0908:20201228153343j:image
f:id:moko0908:20201228153356j:image
f:id:moko0908:20201228153403j:image
f:id:moko0908:20201228153412j:image
f:id:moko0908:20201228153353j:image
f:id:moko0908:20201228153350j:image
f:id:moko0908:20201228153359j:image
f:id:moko0908:20201228153347j:image