『富士日記』(武田百合子)で娘の花が書いた部分が自由で面白すぎる。
≪ めずらしく雪が降った。二十六日にも降ったけど、こんなには降らなかった。朝、父に「雪」と聞いただけで、顔も洗わず、スキーを持って外に出た。ポコと父も一緒だ。思ったよりも、沢山でもなかった。ポコは勝手にはしゃいでいる。はじめのうちは滑るだけで楽しかったが、スキーをかついで登るのはつらかった。ポコだけ楽をしている。母はやっと起きて朝ごはんの支度をした。鮭こくとウインナーソーセージがマンガみたいにつながっているので面白かった。それから、また外でスキーをした。≫