「私の知ってるあの子のこと」(高野文子)の始まり方が良すぎて最初の2ページをしばらくずっと眺めていた。フレーミングも独特でおもしろい。
≪わたしは君がいったいどこの生まれで、はたして男の子なのか女の子なのかいったいいくつなのか知らない
そこでたずねるが、君は人でいっぱいの街を歩いたことがあるね
大人も子供もごったがえしていてそんな中まるで見知らぬ子から
イーをされたことはないか
そうこの顔だ
でも、これはこの子供の話ではない
イーなんか
一度もしたことのない
子供の話だ≫
ここをこのまま引用してそのまま別の小説を書きたくなるくらい、すてきな語り。