9月27日

7時半に起きた。カプセルホテルはドラえもんみたいで好きだけど、ちゃんと疲れは取れない。上野→三鷹。神田で乗り換えだったけど一度間違えて新橋まで行く。三鷹の森ジブリ美術館に到着。結構並んでいる。団体のような感じで幼稚園児がたくさんいる。ジブリっぽい。ここに来たからといって卒論の宮崎駿論が進むわけではないことは分かっているけど、縋るような思いで来ているところはある。受付のお姉さんが狙ってんのかっていうくらいジブリっぽい。後々、眉毛のあたりがメイとサツキのお母さんっぽかったとわかる。眉毛の剃り方とかを指定されているんじゃないかと疑う。最初にこれまでの映画の原画が展示してある部屋へ。美術館とはいえジブリなので当然人も多くてゆっくり見れたわけじゃないし、そういう鑑賞が望まれた場所でもないけどとにかく絵は良かった。やっぱりポニョの背景美術が1番刺さる。ぽてっと膨らんだ宗介の家と内装の絵が飾られている。今にも破裂するか飛んでいってしまいそうな風船のような非現実感とそれをなんとか抑え込むような重力との拮抗。原画以外にも写真とかを貼り付けたスクラップブックとかもある。それ以外にも宮崎駿が資料として使用していたであろう本とかが大量に。ナウシカの原画の「崩壊した宇宙船に寄生する都市 ベジテ」とか、改めて見るとめちゃくちゃ良い設定だと思った。そこにいたナウシカの絵は流石でジブリヒロインのなかでも圧倒的な貫禄がある。経路の途中でアニメを作る工程の説明とかがあって、その部屋にいるとアニメを作るって本当に途方もない作業だと素朴に感じるし、やっぱり宮崎駿ってめちゃくちゃすごい人だと思う。『アーヤと魔女』展というのをやっている。ジブリ初の3DCGということで、宮崎吾郎が3Dアニメを作る工程をわりと詳しく説明してくれている。当分このアニメを観る予定は今のところないけど、2Dとの違いがよくわかるようになっていて展示自体は良かった。3階のジブリ図書館。前から気になっていた、近藤善文のスケッチ集『ふとふり返ると』があってパラパラめくるととても良かったので買った。店員さんに『ふとふり返ると』良いですよね、と笑顔で言われた。土星座で映画を見る。『ちゅうずもう』が上映された。この美術館だけで見られる短編において、小さな生物が主役になるのは偶然ではないだろう(『水ぐももんもん』『毛虫のボロ』)。とにかく音響がすごいと思った。1階では、ストロボやゾートロープ、パノラマなど、原アニメーションのような技術を使った展示。ストロボの効果によってフィルムの絵が動くのを初めて生で見て感動した。もっと見ていたかったけど、欲張ってこの後に予定を入れてしまったのでやむなく出る。三鷹→新宿→渋谷。渋谷のBunkamuraでポーラ美術館コレクション展。フランス近代絵画を薄く広く集めた感じの展示。昨日の熊谷守一のときと違って、圧倒的に打ちのめされる、という感じの絵はなかったけど、近代絵画の変遷が分かりやすく道順で示されている。セザンヌの「プロヴァンスの風景」のわずかな面積のオレンジ色の屋根はすごく遠くにいてもこちらに作用してきた。ボナールの「浴槽、ブルーのハーモニー」はずっと気になって見ていた。美術館で絵を見るのは立っていないといけないから疲れる。家で寝そべって見るのとは違う。ただ、鑑賞の態度としてはこちらが正しいのだろう。何枚か気になった絵のポストカードを買う。言うのは憚られるけど、実際に見てそうでもないって思った絵をポストカードで見ると良いって思ったのが何枚かある。疲れて目に入ったガストに入る。歩きながら写真を撮ってパッチを集める行為で思い出したのは、石拾いを日課にし、やがてかき集めた石で宮殿を作ってしまった郵便配達員シュヴァル。郵便配達員というのがまた良い。自分で何かを制作するというのを考えたとき、いま一番実行可能な形式なんじゃないかと思う。『ふとふり返ると』もそんな感じのスケッチ集だった。ただ、それをやるといま手に持っているレジェの絵のような方向に行きそうだけどそっちで良いんだろうか、と悩む。渋谷で乗った電車、人いっぱい。

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