9月2日

 9月になってから雨が降っている。涼しくて、一気に夏の気配が消え去ったかのよう。大学に入ると、東でミンミンゼミが、西側でツクツクボウシが鳴いている。ミンミンゼミの方はすごくゆっくりと、とても力ない声に聞こえる。ミーーーーーーーン、ミン、ミン、ミーーーーーーーン、やっぱり夏は終わるのかもしれないと思った。バイトは比較的まじめにこなした。前回サボった分は取り返したと思う。

 夜から友だちが来て、『たまこラブストーリー』と『リズと青い鳥』を続けて見た。両方とも山田尚子監督。二つの作品に共通するのは、2人の恋愛関係を軸にしたストーリーであるということもそうだけど、物語の途中で主役が交代する点。前半は相手(もち蔵、みぞれ)から好意を向けられるだけの対象としてあり、自らの欲望を示すことがないために無垢でいられた存在(たまこ、のぞみ)が、後半以降、何らかのきっかけではじめて自分のことが問われる、つまり主体、主役となり自らの欲望と向き合うことが要求される。そして、そのことが高校3年生という時期の、将来への不安のような感情と混ざり合う仕方で描かれる。ただ、『たまこラブストーリー』の方は、ハッピーエンドという感じだけど、『リズと青い鳥』はなかなかに残酷な話だった。みぞれが自分の才能を開花させて、オーボエを吹き、のぞみがそれに圧倒されてフルートを置いてしまうシーンでボロボロ泣いてしまう。

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