7月27日

 家庭教師のバイトに行く電車の中で『富士日記』を開いて読んだ。この本は移動中と寝る前に読むのがすごく良い。昭和四十年七月十九日、梅崎春生が死んだ日だった。「今朝がた、湖の裏岸をまわって鳴沢へ戻るとき、河口湖にしては、大へん水が澄んでいて、釣をする人も絵のようにしずかに動かない、うっとりするような真夏の快晴だった。<こんな日に病気の人は死ぬなあ>と思いながら車を走らせていたら、梅崎さんが死んだ。涙が出て仕方がない」。去年、じいちゃんが死んだのは冬だった。お母さんから「おじいちゃんが死んた」と電話がかかってきた日が、どんな日だったかは覚えてない。急遽乗ることになった電車で、本も読まず音楽も聞かず、2時間くらいずっと車窓を眺めていたのは覚えている。冬か夏のどちらかに死ぬのなら、どちらかといえば夏がいいと思った。

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