3月10日

 晴れのち曇り。昨日夜遅くまで友達とゲームしていて、起きたのはほとんど昼。プリントした写真を見ながらモンタージュの組み合わせを考える。その作業に夢中になるうちにバイトの時間になったので家を出た。

 バイト中暇だったので『猫のお化けは怖くない』(武田花)を開いて読んでいた。もうほんとうに呆れるくらい良い場面。しかも2連続。

≪今にも雪が降り出しそうな空の、低い雲の隙間から、ふいにまぶしい陽光が射し込み、傍らのUFOキャッチャーの中を明るく照らし出す。積み重なったぬいぐるみは、目をぱっちり開けて可愛い顔した死体の山。

 湖面に浮かぶ水鳥を眺めていたら、背後から男女の笑い声が近づき、私と同年輩の女と、だいぶ年下らしき大柄の男が腕を組み、ぐにゃぐにゃともつれ合うような格好で通り過ぎていく。二人が立ち止まり、男の方が空に向かって何やら唸った。と、女がそそくさとバッグから菓子パンを取り出し、袋を破り、男の大きく開けた口に半分にちぎったパンを押し込んだ。あれはきっとクリームパン。目を見開き、嬉しそうにクリームパンを頬張る男。≫

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