1月23日

・来週からテストだけど、勉強は明日からすることにして、今日は借りてきたDVDを消化することにした。『中二病でも恋がしたい!戀』の11、12話。昨日の続きで七宮問題をどう解決するか、というところだったけど、丹生谷の奮闘ぶりというか、周りの人間に対する愛がすごくて感動した(この素晴らしく立派なキャラは「ユーフォ」の吉川に受け継がれている)。七宮と丹生谷がくっついているシーンに良いタイミングで、凸守が入ってきて七宮に対して嫉妬するシーンも良かった。凸守ー丹生谷のペアは最初から最後まで素晴らしかった(特に凸守が立花を勇太に取られてから、2人が延々とイチャイチャしてるのが良い。作品のなかに異なるリズムが生まれるというか)。丹生谷と違って、一歩引いて周りの人間のことをよく見ているけど積極的に介入することはないくみん先輩が、丹生谷や中二病に対して「うらやましい」と述べる場面があるのも印象的だった(くみん先輩は主要人物のなかで唯一中二病という性質を過去にも現在にも持たないために、誰ともカップルを作ることがない。凸守が丹生谷とも立花ともラブラブなのとは対照的)。まあ、七宮問題の上に、伏線的に仕掛けられていた立花と勇太の問題が重ねられることで、七宮の方の問題がわりとうやむやというか強引に解決されてしまったのが少し引っかかるのだけど。七宮が陥った問題はそんなに簡単に解決されてしまって良いものなのか、七宮は本当にそれで良いのかという。最後に若干謎を残す感じになったけど、これはこれで良かったという気もする。

・最終話は立花が勇太とキスするのかしないのかというお話で、問題になっているのは、世間一般の「恋愛」に流されないで立花と勇太がいかに固有の関係を築くことができるのかという点だろう。流石にここまできて最後普通にキスをして終わるという締め方はしないだろうとは、こちらも信頼しているから安心して観ることができた。立花と勇太の顔が近づいて最大限に高まった緊張が、勇太の妹のキメラに赤ちゃんが生まれた、という電話で緩められるというのは良かった。そう来たか、っていう。結局最後までこの作品は、恋愛が恐怖の対象であり続けていて、中二病にとって最も恐るべき「現実」はまさに恋愛となっている。それがなんともリアルだと思った。個人が社会とどう折り合いをつけるのか、みたいな問題は別に「中二病」を題材にする必然性は生じないが(いわゆる「中二病」でなくたって日々思い悩むことなのだし)、「中二病と恋愛」というテーマになると切迫したものが生じ、まさにこの作品でしか問えない必然性が存在する。七宮と立花にとって問題だったのは、勇太を好きになることによって自らの能力を失い「中二病」でなくなってしまうことであり、それこそが最大の脅威であった。この作品では社会はもちろん学校も父としては機能せず、あくまでも同好会というドメスティックな領域における「恋愛」あるいはメンバーの人間関係だけがすべてかのように話が展開する。それはこの作品の欠点ではなくて必然性だろう。社会的なものを恋愛が代替しているとさえ言えるから。立花と七宮は(社会的な)恋愛関係に収まることで「中二病」という自分の固有性や、自らが大切にしてきた世界観(地)が底抜けに崩壊してしまうことに対してつねに防衛せざるを得ない。この作品では中二病が学校のなかでそれなりに受け入れられる優しい世界であるにもかかわらず、「恋愛」というリアルなものが安定的な世界の亀裂として存在するがゆえに、現実世界とは別のかたちで中二病であり続けることに困難が生じる。だからこの幸福な世界においてすら、現役中二病の3人のなかで安全な位置に存在するのは凸守だけとなる。この作品が最後まで問題にしていたのは、中二病と恋愛という相容れないものが同時に成立するとすればそれはいかなる関係においてなのか、ということであり、そこが分からないと勇太と立花の純情な関係をただ観客が消費するだけになってしまう(制作側がそれを狙ってもいるという面は否定できないけど)。これ以上行ったらつまらない作品になってしまうというとても危ない橋を渡っているのだけど、この作品はギリギリで持ち堪えていて、その緊張感がとても良かった。

・『ストーカー』(タルコフスキー)を観た。タルコフスキーってめっちゃ真面目なイメージがあったけど、この映画を見ると結構ユーモアも散りばめられてて良かった。一旦、教授が消えて、あいつはもうダメだなってなった後に、普通に登場してくるところは笑った。今回は樫村晴香の文章を読むために観たから、この映画に対してどんなことが書かれているのか楽しみ。

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