9月20日

最近やたらリアルな夢を見る。リアルというか、クリアというか、結構起きたあとも憶えていることの多い強度のある夢。あんまりここで書けるようじゃないものもあるけど、夢で面白い経験ができてしかもある程度それを覚えているというのは良いことだと思う

 

柴崎友香『フルタイムライフ

まさかまさかの主人公がOL

初期の柴崎友香を読んだことがない人は何がまさかなのかわからないと思うけど、『フルタイムライフ』以前の柴崎友香作品においては、社会人が登場することはほとんどなく、定職につかないでフラフラしている人や大学生ばかりが主人公だった

そういう意味で社会性のない作家が、会社を舞台に小説を書くということは、書き手自身も新たな環境に投げ込まれるということだと思う

ただ、読んで思うのは、柴崎的な社会性がなくフラフラしているような人物は、会社で働くことになったとしても、結局そのなかでフラフラし続けることになるのだなあ、ということ

(もちろん、会社にもそれなりに適応していて、ある程度「成長」しているのだとは思う)

一応、これまでになく緊張感が高まるシーンも、「会社」のそれっぽく用意されているにはいるけど(「一二月」)、その緊張も意外とあっけなく解決されてしまう

読み終わってみれば意外といつもの柴崎友香なのだった

たぶん「社会」が導入されることで新たな局面を迎えるとすれば、別の作品になるのだろう

とはいえ、柴崎友香の優れているところは健在で、何気ない部分の描写力は秀逸

たぶん、あの描写はかなり苦労して書かないとあんな素晴らしいものは書けないと思う(本当に何気なく書けてしまう作家なのかもしれないけど・・・)

 

フィロソフィーのダンス『ダンス・ファウンダー』

最近、フィロのスの作曲家の宮野玄士が自身の音楽、サウンドを形作るうえで核となったと言っている音楽(60年代ファンクやソウル、ジャズなど)をたくさん聴くようになった

それで、今日このフィロのスのアルバムを聴いて、これまでなんとなくでいいじゃんこれって思ってた部分が、前よりもクリアになって聞こえるようになった気がする

なんか、宮野さんがやりたいこと、実現しようとしているものがほんの少しだけ掴めるようになったというか

もちろん良い作品は文脈(歴史)抜きでも、超時代的に届いてくるものだと思うけど、ある程度学習してからもう一度聴いてみると、聞こえてくる音も変わってくるのだった

まあ、これは音楽に限らずどのジャンルでもそうだと思うけど

(何の知識もない人がセザンヌマティスを観たり、カフカを読んで面白いと思うわけがない)

(いや『変身』は誰がどう読んでも面白いか・・・)

例えば、三曲目の「はじめまして未来」について、本人がアースの「September」「Let's Groove」のモチーフが入ってると言っているのだけど、たぶん音楽というジャンルに精通している人だったら、言われるまでもなく見抜いてしまうのだろう

(ぼくはいわれてもあんまピンとこなかったけど・・・)

まあ、知ることで作品の楽しめる幅が広がるのは良いことだよね

 

田島列島子供はわかってあげない

ほんとに素晴らしい作品だった。マンガ読んでこんなに興奮したのは久しぶり

(タイトルのもとになっているトリュフォーの『大人は判ってくれない』は観たことがない)

読み終わった瞬間、次作の『水は海に向かって流れる』を走って本屋に買いに行ったもんね

ぼくがそもそもこの漫画を読んだのは、Twitterでフォローしている何人かのひとが、最近完結した『水は海に向かって流れる』を絶賛しているのを見て、気になって買ってはいたけど読んでなかった同じ作者のこの作品を読もうと思ったからだった

まあ、言ってしまえばボーイミーツガールの物語なんだけど

序盤からどこか渇いていて、ふわふわとした文体で書かれて、基調はソフトでゆるいけれど、さりげなく重くてえげつないものを入れてくる、他にはない感じ

そして、最後の最後で生々しいベタで押し通してくる。ベタはやっぱり使い方なんだなあ、と感心する

(ぼくはこういうボーイミーツガール系の、というか映画でもドラマでもなんでもフィクションの恋愛ものを面白いと思ったことって、ほとんどないんだけど。全部嘘っぽく見えるというか。これは、現実にはこんなことおこらないでしょっていうリアリズムからの批判ではないです。念のため。ぼくは嘘っぽいの反対でリアリティがあるって言葉をよく使うけど、ここでいうリアリティとは、現実と照らし合わせたときに、どれだけ整合的かという指標ではなくて、どれだけ経験に強度があるかというもの。恋愛ものはそういう意味ですぐに嘘っぽい方向へと流れていってしまう)

本屋でこの作品が来年映画化することを知った。

 

家族でご飯を食べに行ったときに妹がカメラでいろんなところを撮っていて、母親に「どこ撮っとんねん」って言われていたけど、ぼくは「ああ、兄弟だなあ」と思っていた。ぼくもけっこう変なところで写真撮るから。行きは母親の運転で、帰りは妹の運転。妹が運転しているのに、まだ慣れない。夕方は西空が赤っぽく染まっていた。

 

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